その6


「アハハハ…、その時のミユキの顔、美咲にも見せたかったよ」

「それでマミは、その後なんて言ったの、彼女には?」

「あのね…」

マミはクスクス笑いながら、”その後”を美咲に説明した。


***


「…私はね、そういう立場を考えて、わざわざ最初にミユキんとこ”持って”来てたのよ。みんなを取り纏めた人間が、実はこうだったから、昨日のメール取り消しにしようって…、その一言で、アンタも体面保てるでしょ?」

「…」

「アンタがそうしてくれるんであれば、私だって、ミユキには”よしな”で伝えて、美咲へも昨日のことはなかったことにしようって、そう進言するつもりだったんだけど…」

「ああ…、マミ!じゃあさ…、はは…、それで頼むよ。私だって、要は自殺の暗示みたいなのかけられる心配がなければ、別に三浦さんには何の他意もないんだからさ…」

「じゃあ、みんなには、とにかく美咲と今後ぎくしゃくしないように今まで通り付き合うことをしっかり言ってちょうだい。美咲の方は私がちゃんと話しておくから。アンタとも別にこれまで通りで大丈夫なように、それは私がする」

「わかったわ!みんなには、しっかり言っとく。ひとつ、三浦さんにはよく言っといてね。何しろ、身近でアキホがあんなことになっちゃったから、コワかったのよ。三浦さんに悪意はこれっぽっちもないから、くれぐれもお願いね…」


***


これで、二人の合意は交わされた。
この後、ミユキはメールの連名人に”その旨”を伝え、彼女らは、メールでも申し出撤回を確約した。

その日のうちに、美咲の元には山本ミユキ以外の全員がやってきて、謝罪と再度の撤回意思申し出を行った。

”マミ、ありがとう…。私、本心ではホントに誰かに呪いをうつす手紙を送らなければならなかったら、嫌いな子とかにって気持ちもあったのよ。でも、あなたの友情に救われて、もしそんな事態に陥っても、私は誰も巻き添えにしなって決心できたわ”

三浦美咲は心のなかでそうささやき、決意を固めた。