その1


和田:しかし、鬼島は自動根絶は望んでないですよね?

鷹山:今日のお話とこの文面を見て、私としての今の見解は、鬼島が望む理想形は拡散度は下げながらも、根絶は何としても防ぎたい…。かつですよ、我々のような、呪いにかけられて苦しむ人を救おうとする存在は強く希求しているということ。それが今日でよくわかりました。

国上:和田さん、そこでヒントになるが、この文面の後段、”出会い・発見・達成・生産・奇跡・覚醒を生むような展開”…、これを彼が欲してるならですよ、今で言えば三浦美咲さんを救う”余地”は残してる…、我々からなら、攻略どころは用意してもらってると…。だからヤツは、”頑張って、探り当て、成果を出してみてよ”と。そんなシグナルが込められてると、私は解釈しています。

奈緒子:それでは、三浦さんは呼び寄せ夢に導かれないか、夢を見ても、手紙を強制閲覧させられないで済む手立ても必ずあるということですね?

国上:ええ、奈緒子さん、絶対ある。私は現在、その結論に達しています。鬼島本人からのヒントも得て…。


***


和田:国上さん!もしかしたら、それ…、具体的にわかったとかですか?

国上:まだ明確には言えないが、呼び寄せ夢で手紙を読まされるのを拒否する”誘導”はできるのではないかと…。

鷹山:では国上さん…、2次念じ者からの呪われ手への呼び寄せ夢に出てくるのは、1次念じの、しかもオリジナル念じ者である鬼島なのに、そこでは丸島さんの時よりも呼び寄せのパワーが弱いという仮説ですか?

国上:うん…、今日でね、その仮説は強まりました。鬼島の負のエネルギー発動は、要は悪霊とかの憑りつく直接一方向の全力直線波動ではなく、双方共振のキャッチ型と見てるんです。そのキャッチ・ポイントが、くびれ柳の植わった校庭です。あそこをホット・スポットに一次念じ波をその都度発動ですから、数をこなせばその都度、波動は弱くなるという会釈です。

奈緒子:国上先生は、そういう言わば”弱点”も、鬼島が周到な計算の元、意識して生前に取りこんだと見てるんですか?

国上:はい。ただ…、これも彼の”遊び心”で、まあ、私達を試してるという視点かも知れません。

和田:うーん…。要するに、鬼島が難敵なのは間違いないってことだろうが、まるでゲーム感覚だな…。

鷹山:そのものズバリですよ、和田さん。鬼島則人はこの世では叶わなかった究極のゲーム・スキームを死ぬ間際にこの世へ仕掛け、生きている人間にそのステージを提供したんです。それで、チャレンジャーいませんかと…。