その2


『…いずれにしても、彼女が見た夢は今時点では1回だけです。丸島の場合は彼の残した記録だと、”手紙を読まされた”呼び寄せ夢までは3回だった。まだ時間がある…。何としての三浦さんを救ってあげる手段をね…。まずは明後日、水野さんに会って、その材料を探り合わせましょう』

「はい!私も”同時進行”で、自分の学校でもやれることに着手しますから…。明日、さっそくれ手嶋先生と相談してみます」

『うん!野坂先生、お互い頑張ろう!』

ここで二人は電話を切った。

”丸島…、奈緒子さんは立派な教育者だ。これから、オレはあの人を危険な道に連れ込んで行くことになるが、あの世で見守っててくれな…”

切りたてのスマホを手にしたままの和田は、胸の中で奈緒子の父親、故丸島友也にそう語りかけていた…。


***


和田がアライブのオフィスに着いたのは午後8時近かった。

「いやあ…、和田さん、わざわざお越しいただいて申し訳ありません…」

「鷹山さん、遅くなりました。これが現物です」

さっそく和田は、三浦咲子から預かってきた戸田アキホ発の”手紙”を鷹山に差し出した。

「うーん…、確かに”血のり付き”ですね。それで、この彼女は最初の夢を見てるんですね?」

「はい、昨夜だそうです。くびれ柳らしきモンが出てきたと…。今日、本人の口から聞いた範囲では、丸島の見た初回の夢とほぼ一緒って感じでした」

「そうですか…。この少女は差出人とは互いに悪感情を抱いているという認識なら…、和田さんの推測通り、この血のりはやはり差出人の恨み度合いが高いケースってことが濃厚ですな。そうなれば、”呼び寄せ夢”で手紙を拝まされるパターンが濃厚ですな」

”やはりそうなるか…。要は、丸島のケースと同様と捉えんといかんな…”

和田は思わず、頭の中でそう呟いた。