その5


その直後だった…。

”プルルーン…、プルルーン…”

二人の会話に割り込んだのは、和田のスマホから着信音であった。

「ああ、奈緒子さん、失礼。…あっ、手嶋からだ!」

「えっ!手嶋先生から…」

奈緒子と和田は顔を見合わせ、一瞬フリーズ状態だったが、どうやら二人は同じ予期を脳裏に巡らせたようだった…。


***


「もしもし…、手嶋か!…なに?本当か、それ…。それで、その家にはいつ行くんだ?」

『今日の夕方です』

「わかった。オレも同席したい。いいか?」

『ええ、頼みます。じゃあ、今日の午後6時、N駅東口のロータリーで…』

「了解だ」


***


「和田さん…、ひょっとして、手嶋先生…」

「ええ…。前任校の女子生徒から連絡があって、先般の自殺した同級生から手紙が届いて、変な夢も見ると、訴えがあったそうです。今日の夜、その生徒の家に私も同行します!」

「その結果、すぐ連絡いただけますか!」

「承知しましたよ、奈緒子さん。その女生徒はすでに開かずの手紙による百夜殺しの呪いってことでしょう。…すぐに鷹山さんに連絡して、彼女を何としても救う手だてを模索します。奈緒子さん…、表現は適当ではないが、幸いにも足元でなんです。このリアルタイム事案は…。事態は早くも喫緊ってことです」

そして、夜8時半過ぎ…、奈緒子の元に和田から連絡が入った。
それは、まさに生々しいことこの上ない、リアルな”報告”だった…。