開けずの手紙ー完全版ー/長編呪い系ホラー【完結】

その6


「99、100、101…」

「わー、もうダメ…」

「ハハハ…、いやあ、野坂先生、ついにやりましたね!おーい、みんなー、野坂先生が二重跳び連続101回だぞー!」

「やだ、手嶋先生…。やめてくださいよー(照笑)」

”でも、気持ちいいわ。何事も、やればできるものなのね…”

寒風吹きすさぶ中、校舎の屋上で奈緒子は縄跳び100回クリアを成し遂げ、しばらくフェンス越しに腰を下ろし、タオルで汗を拭っていると…。

奈緒子の5メートル先では、スマホ片手の女子生徒5人組が何やら井戸端会議中だった…。


***


「えー、ホント?マスミ…」

「うん。私のいとこが北九州に住んでてさ、隣町の私立高校で2週間に18人だって」

「東京西部のこの辺りは、手嶋先生の前任校で”あれ”以来、全くだったからてっきりかと思ってたけど…」

「そうそう…。都市伝説サイトでもさ、くびれ柳が涸れちゃったから、もう呪いのアンテナがなくなったってのが定説だったしね。と言うことは、開けずの手紙が届いた人に、百夜殺しとかって呪いがかけられる媒介地がさあ、北九州にできたってことなのかな?」

「うん…。なんかさ、九州じゃあ、今度は”まだら膨れクヌギ”の大木だって噂が広まってるらしいよ。もっとも、そこの場所が九州とは限らないだろうけど…」

”まだら膨れクヌギ…!”

その会話がすっぽり耳に入っていた奈緒子はすでに青ざめていた。
彼女の頬を伝う汗は、一瞬で渇き果ててしまうのだった…。


***


「あなたたち…、ちょっといい?北九州で連鎖自殺なの、今…!まだニュースとかじゃあ、耳にしてないけど…」

「野坂先生、いとこの家の話じゃあ、あまりに大規模な連鎖自殺なんで、パニックを恐れて、警察と政治家がマスコミの報道を抑えてるらしいんです。たぶん、週末にはテレビでも報道すると思いますよ」

「それで…、実際、どの程度の数なの!」

奈緒子はもう詰問調になっていた。

「いとこの話では、北九州中心にこの1ヶ月で中高生150人くらいはって…」

「!!!」

この週の土曜日、テレビ各局は九州全土で女子中高生を主とした、パンデミック状態に陥った連鎖自殺の実情を報道することとなる…。



開けずの手紙   -完ー