その8
”やっぱり、野坂先生はずっとそばで私に居てくれてたんだ。嬉しい…。先生、一緒にやろう‥”
それは静かにも不断の決心が美咲にもたらされた一瞬だった。
その瞬間より、不気味な柳の枝は視界から拒否され、アイツからの呪文のような”導きのコトバ”は意味不明の独り言と化した。
柳の下の自分、野坂先生のいう私の映し鏡な自分もそれにならった。
自らの意思で手の中のカプセル二つをこじ開けると、中に納まっていた2枚の紙片を掴み取り、カプセルは地面に放り投げた。
ちなみに、その地面は闇を吐いて、空のカプセル二つを静寂の内に飲み干した。
しかし、美咲の手の中にある紙は重かった…。
”破れない…。手が重くて動かないよー、先生ー!!”
美咲はパニクッた。
その次の瞬間、一旦意味不明の独り言にできた鬼島のコトバが彼女の耳に届いてしまう。
正確に…。
***
”ぼうっ…!”
「燃えた!…よし、濃塩水を流入だ!」
作業堂の鷹山は素早く密閉ケースの吸入コックに濃塩水の放水ホースを差し込んだ。
「あっ、もうケムリが…」
ケース内は、瞬時に硫黄のような黄ばんだ濃煙で覆い尽くされた。
同時に耐性ガラスの畳1畳半の大きな密閉ケースは小刻みにグラグラ横揺れを起こして、丸で今にも跳ね上がるかのような振動を晒していた。
「向こうは残留エネルギーが解放されたみたいだ。果たして、この密閉空間が相互共振を撥ね退け切れるか…。即退避できるようにしておかないと…」
作業堂の鷹山は、濃塩水が密閉ケース満タンに注ぎ込んだことを確かめたあと、室の出口前に移動した。
「国上さん、こちらは完了した。今、ケースは振動してる。底から揺らされてるって感じだ。破裂するかもしれない…」
「中は膠着してますか?」
「ええ。黄色い煙が水の中を泳いでる。水泡や音などは出てない」
「鷹山さん、こっちはもう間もなくだ。奈緒子さん次第なんだ。鬼島はくびれ柳の枝に蓄積させた情念の波動を小出しでじわじわなんだ。ケースごとでの過剰反応はあり得るから、気をつけてくれ」
「わかった。あんたも頼むぞ…!」
スカイプを通した二人のやり取りはこれで終わった。
”やっぱり、野坂先生はずっとそばで私に居てくれてたんだ。嬉しい…。先生、一緒にやろう‥”
それは静かにも不断の決心が美咲にもたらされた一瞬だった。
その瞬間より、不気味な柳の枝は視界から拒否され、アイツからの呪文のような”導きのコトバ”は意味不明の独り言と化した。
柳の下の自分、野坂先生のいう私の映し鏡な自分もそれにならった。
自らの意思で手の中のカプセル二つをこじ開けると、中に納まっていた2枚の紙片を掴み取り、カプセルは地面に放り投げた。
ちなみに、その地面は闇を吐いて、空のカプセル二つを静寂の内に飲み干した。
しかし、美咲の手の中にある紙は重かった…。
”破れない…。手が重くて動かないよー、先生ー!!”
美咲はパニクッた。
その次の瞬間、一旦意味不明の独り言にできた鬼島のコトバが彼女の耳に届いてしまう。
正確に…。
***
”ぼうっ…!”
「燃えた!…よし、濃塩水を流入だ!」
作業堂の鷹山は素早く密閉ケースの吸入コックに濃塩水の放水ホースを差し込んだ。
「あっ、もうケムリが…」
ケース内は、瞬時に硫黄のような黄ばんだ濃煙で覆い尽くされた。
同時に耐性ガラスの畳1畳半の大きな密閉ケースは小刻みにグラグラ横揺れを起こして、丸で今にも跳ね上がるかのような振動を晒していた。
「向こうは残留エネルギーが解放されたみたいだ。果たして、この密閉空間が相互共振を撥ね退け切れるか…。即退避できるようにしておかないと…」
作業堂の鷹山は、濃塩水が密閉ケース満タンに注ぎ込んだことを確かめたあと、室の出口前に移動した。
「国上さん、こちらは完了した。今、ケースは振動してる。底から揺らされてるって感じだ。破裂するかもしれない…」
「中は膠着してますか?」
「ええ。黄色い煙が水の中を泳いでる。水泡や音などは出てない」
「鷹山さん、こっちはもう間もなくだ。奈緒子さん次第なんだ。鬼島はくびれ柳の枝に蓄積させた情念の波動を小出しでじわじわなんだ。ケースごとでの過剰反応はあり得るから、気をつけてくれ」
「わかった。あんたも頼むぞ…!」
スカイプを通した二人のやり取りはこれで終わった。



