「あーはいはい。そない怒ると思ってへんかったんや。はいどーぞ。……あぁもうめっちゃ可愛い」


もっと揉めるかと思ったら、意外とすんなり渡してくれた。最後の方は聞き取れなかったけど。


「…というかそもそも蒼くん、何でここにいるの?」


周りのお客さんはみんな女性ばっかりなので、蒼くんはひとり浮いていた。


「別に何でもええやろ。…それよりどこか寄ってかへん?」


「うん。私もちょうど甘いもの食べたいなって思ってた!」


はぐらかされた気がしないでもないけど、おやつに目が眩んでつい元気に返事をする。


「決まりや。カフェでも行こ。近くの店探しとく」