消え入りそうな声で返事を返す。


恥ずかしすぎて消えたい…


顔を覆って俯いた直後に蒼くんに抱きしめられた。


「あーもう!ほんま可愛い。素直に認めてまうとかやば…可愛すぎ」


「あ、蒼くん!」


ここ街中だから!


「ごめんごめん。つい、衝動に身を任せてしもた」


「もう!」


「そんなおこらんとって。初デートなんやから、ちゃんと楽しも?」


「…わかったよ」こんな感じで、蒼くんには言いくるめられっぱなし。


主導権なんてあったもんじゃないし、私のことをからかっては反応を楽しんでいる。


…いつかは絶対仕返しする。


今のうちにからかいの技術を磨いておこうと心に決めて、蒼くんのコートの袖を小さくつかんだ。