階段をかけ下りて,靴を履き。
私はまた走った。
体力が無さすぎて息は荒れ,膝とついでに足首も吊っていたい。
もうやだ,私,運動音痴なのに……
皆が驚いて振り返ってくる。
恥ずかしい,いやだ。
でも,まだ止まれない。
人生で最初で最後の,私の勇気なの。
どこ行っちゃったの,亜季。
約束って,小指を向けてくれたのに。
走り抜けようとした校門で,思いがけず足止めを喰らう。
その集団はほとんど女子で出来ていて,男子は迷惑そうに大回りをしていた。
なんなのこんな時に……
上手く行かないことばかりで,じわりと目に涙が滲む。
鼻を啜って私も大回りをしようと動くと,チラリと誰かの後頭部が見えた。
え……? あれって……
中心にいるのが,男子だと分かる。
囲う女子の手に,チョコがあることも。
あれは,もしかしなくとも。
この騒音の中から,女の子の声を一人一人聞き取らなくても。
真ん中で困ったように,脱出したそうにうろちょろ動いているのは,亜季だ。
帰ろうとして,呼び止められたのか。
それとも,もしかして。
少しでも目立たないように,私を,外で待っててくれた……?
私はまた走った。
体力が無さすぎて息は荒れ,膝とついでに足首も吊っていたい。
もうやだ,私,運動音痴なのに……
皆が驚いて振り返ってくる。
恥ずかしい,いやだ。
でも,まだ止まれない。
人生で最初で最後の,私の勇気なの。
どこ行っちゃったの,亜季。
約束って,小指を向けてくれたのに。
走り抜けようとした校門で,思いがけず足止めを喰らう。
その集団はほとんど女子で出来ていて,男子は迷惑そうに大回りをしていた。
なんなのこんな時に……
上手く行かないことばかりで,じわりと目に涙が滲む。
鼻を啜って私も大回りをしようと動くと,チラリと誰かの後頭部が見えた。
え……? あれって……
中心にいるのが,男子だと分かる。
囲う女子の手に,チョコがあることも。
あれは,もしかしなくとも。
この騒音の中から,女の子の声を一人一人聞き取らなくても。
真ん中で困ったように,脱出したそうにうろちょろ動いているのは,亜季だ。
帰ろうとして,呼び止められたのか。
それとも,もしかして。
少しでも目立たないように,私を,外で待っててくれた……?



