スウィートメモリー💝

はぁと重い息を吐くと,またあずみから心配そうに声がかかった。

なんていいお友達……

密かに,私は感動する。

その顔を隠すように,私はまた顔を伏せた。

私から以外は受け取らないって。

そう言ってくれた亜季だけど……

直接,必死になって受け取って欲しいと言われたら,それはもう受け取るんじゃないだろうか。

例えば



『大人しく諦めるから……これ,手作りで頑張って作ったの。せめて受け取ってくれないかな?』



そんな風に言われたら,私だったら絶対に受け取っちゃう。

誰にとっても,それが1番いい方法だと思うから。

受け取ってあげて欲しいと,傍目で見てしまったらきっと思う。

だけど……

実際に見てもいない今は,こう……"それでも受け取らないで"なんて思ってしまった。

想像した光景に胸がざわめいて。

そんな風に思ったのはきっと,自分が卑屈だから。

自分のチョコが大したものじゃないから,亜季に比べられたくないから,そんな風に思ったんだ。

皆,本気なのに……

私には,自信もなにもなく,ただその為だけにそんなことを思ってしまったんだ。

可愛くない上に,ひどい。

亜季だけじゃなくて,もしかしたら同姓の女の子にも嫌われちゃうかもしれない。

そんな不安が胸に巣くう。