「っ!?何するんですか!」
「いや?お約束でしょ」
「~もうっ!」
その水しぶきは先輩が両手で掬った海水をわたしへと投げたもので。
びしょ濡れとまではいかずとも多少の水を被ってしまったわたしは遠慮なくやり返した。
「あ、お前、こっちは加減ってのをしてんのに」
「自業自得、因果応報です」
「ま、暑かったからいいけど」
さすがにわたしよりも大分水を被ってしまった先輩に内心やりすぎてしまったと思ったけれど先輩は気にしていない様子で足で海水を蹴っ飛ばしている。
跳ねる水がキラキラと宙に舞って、美しい。
「あ、そうだ。ちょっと写真撮っていい?」
「写真ですか?」
「そ。この時間は写真に切り取っておくべきだって俺の直感が言ってる」
そう言ってすぐそこの波がこない砂浜の上に置いてあったカバンからいつものフィルムカメラを取り出した先輩は、そのレンズを水平線の方へと向ける。
果てのない青色を捉えるその横顔は、とても楽しそうで思わずわたしの顔にも笑みが浮かんだ。
それから先輩は数回シャッターを切った後、徐にそのレンズをわたしの方へと向けて。
パシャリ、懐かしい音がした。



