キミと世界が青めくとき 【完】



「よく言われない?考えてる事が丸わかりだって」

「言われないです」

「うそ?なら俺といる時だけ?」

「自覚はないですけど、そんなにわかりやすいですか?」

「うん。わかりすい」

「今度から気をつけます」



顔を隠すように両手で頬を押さえながら、小さく頭を下げるわたしに先輩は「そのままでいいんじゃない?」と俯いたわたしの顔を覗き込む。



「見てる分には面白いし、いーよ、そのままで」

「でも、考えてる事が丸わかりなのって嫌です」

「嫌?」

「自分が考えてる事を人に知られるのって怖くないですか?」

「え?」

「考えてることや思ってることって口に出すの怖くないですか?」



わたしは、怖いから。

心をさらけ出している様な、なんとも言えない心地悪さを感じる。


考えていることや思っている事を話して、相手にどう思われるのかがわからないから怖い。

相手と全然意見が違ったら自分が間違っているんじゃないかって不安だから怖い。

そもそも思っている事を口に出すという行為自体が怖い。


それはきっと、誰でもそうなのだと思ってきた。

考えてる事や思っている事なんて誰も人には知られたくないものなのだと、そう思っていた。


だけどどうやらそれは違ったみたいで。



「俺にはその感覚全然わかんないや」

「わからないですか⋯?」

「うん。そりゃ人には言いたくないことはある。でも、考えてる事が相手に丸わかりなのって、ラッキーじゃない?」

「ラッキー⋯?」

「だって言葉で伝えなくても考えが相手に伝わるなんて凄くね」

「そうですか?」

「言葉で伝えるって手間を省けるし、これやって欲しいなーってのも言わなくても伝わるって事は相手が率先してやってくれるわけじゃん」

「それは都合のいい解釈をし過ぎでは⋯」

「でも実際考えてる事が丸わかりって言っても所詮その程度なんだから」