こんな醜態を人様に晒してみっともない事は承知している。
「ふざけんな、人のせいにすんな」って言われるのだって覚悟している。
だから「澄、顔上げて」と想像より遥かに優しさを含んだ声で言われた時は驚きで思わず顔を上げていた。
「⋯⋯うんと、何て言っていいのかわかんないんだけど、」
「はい⋯」
「端的に言うと、」
顔を上げた先の先輩は若干困惑している様子。
だけどやはりその声は優しくて。
「俺、今ちょっと感動してる」
「⋯感動、ですか?」
「うん。感動っていうか嬉しい」
「?」
「澄が連絡待っててくれてた事が嬉しいし、拗ねてBBQに行っちゃったっていうのが可愛いしウケる」
「拗ねたわけじゃないです」
「うん。でも慣れないことしちゃった理由が俺だって思ったら申し訳ないけどめっちゃ嬉しいよ」
「⋯」
「俺ら相当仲良しみたいじゃん」
本当に嬉しそうに表情を緩めた先輩に、胸の奥がギュッと痛くなった。
「理不尽に先輩のせいにしたのに怒らないんですか?」
「怒んないよ。理由が理由だし、可愛い友達兼後輩には甘いの、俺」
「⋯⋯わたし、海、楽しみだったんです」
「うん」
「夏休み中はほとんど毎日図書館に行っていたんですけど、それも凄くわたしにとっては有意義な時間で、楽しいんですけど、わたし、海にも行きたいです」
「うん」
「どうして何も連絡してくれなかったんですか?」
面倒くさい事はわかっていながらも、先輩が何でも許してくれちゃうからわたしはつい甘えてしまう。
そんなわたしを煙たがる事なくした質問に答えてくれる先輩は、とても面倒見が良いのだと思う。



