「わたしが慣れないことしてつまらないBBQに行ったのは知春先輩のせいじゃないですか⋯」
小さく、小さく呟いた言葉はガヤガヤとした店内にすぐに溶けて消えてしまった。
だけど聞こえるか微妙だったその声はちゃんと先輩には聞こえていたらしい。
「俺の?」
やっぱり呆れる事も怒る事もしない先輩は何故かほんのりと口元に笑みを作っている。
「何で俺のせい?」
それは自分のせいにされている理由がわからなくて面白いといった感じで、その余裕さに苛立ったわたしは八つ当たりだとわかっていながら言葉を止める事が出来なかった。
「先輩が海に行こうって言ってくれたから⋯だから、わたし連絡が来るの待ってたのに⋯。それなのに何の音沙汰もなくて、あれはただのその場のノリだったのかなって⋯そう思ったら何か寂しくて、半ば自棄になったっていうか、自棄は言い過ぎかもしれないけどそんな感じで⋯だから慣れないBBQなんかに行ってしまったのは知春先輩のせいです」
早口で自分勝手もいい事を並べ立てたわたしは、自分でも嫌になるくらい支離滅裂だ。
何も先輩のせいじゃないのに先輩のせいにして、これじゃあ癇癪を起こしている子どもと変わらない。
ていうか、待ってたとか寂しかったとか、言おうとしていなかった言葉まで勢いのままに口にしてしまってとても恥ずかしい。
「⋯っすみません、忘れてください」
そう言って下げた視界の隅で、パフェの溶けたチョコアイスがグラスを伝った。



