キミと世界が青めくとき 【完】




「⋯っわ、わたしは、」

「うん」

「わたしは⋯、夏休み中に⋯」

「うん。どっか行ったりした?」

「⋯BBQに」

「バーベキュー?」

「はい。誘われて⋯」

「そうなんだ。楽しかった?」



先輩は意地悪で言っているんだろうか?

どんな答えを望んでいるんだろうか?

凛に言えた“楽しかった”の一言を先輩には言えなかった。

というより言いたくなかった。



スプーンを握った手に力が入る。



「楽しく、なかったです⋯」

「うん?」

「全然、楽しかったです」

「楽しくなかったの?」

「はい」

「どうして?」



先輩の淡いブラウンがわたしを捉えているのがわかったけれど、わたしはその瞳を見つめ返す事が出来なかった。



「⋯だって、知らない人ばかりだったから」

「⋯ほお、」

「わたしが知ってる人は二人だけで⋯だけどずっとわたしと居るわけにもいかないし⋯途中からはずっと一人で⋯」

「だから楽しくなかった?」

「誘われて行くと決めたのはわたしだし⋯つまらなかったって言うのは良くないってわかります。それに⋯、」



他にもつまらないと思った理由はあるけれど、それを言ってしまえば先輩にわたしには出来のいい双子の妹がいる事がバレてしまう。

だからそれを言うことが出来ずに口を噤んだわたしに先輩は「それに何?」と続きを促した。

その声はこんな話聞かされて⋯って呆れている風でも怒っている風でもなくて、どちらかと言えばわたしの言葉にちゃんと向き合おうと包み込んでくれている様な言い方で。



だから、そんな風に先輩が甘やかすからわたしは調子に乗ってしまったんだ。