キミと世界が青めくとき 【完】


知春先輩はわたしの唯一の友達で、数少ない何にも怯えずに接する事が出来る人。

それはつまり、わたしにとってとても貴重な人であり、大切な人でもある。



そんな先輩が好きなカメラ。

わたしはカメラに詳しいわけでもないし、この先カメラを片手に色々な景色を撮るという事もないだろう。被写体になる事だって、あまり好きではない。


だけど、写真を撮られることは好きじゃないのに、レンズをわたしに向けて笑う先輩を見るのは全然嫌じゃない。

上手く言えないけど、楽しそうに写真を撮る先輩の姿やシャッター音、出来上がった写真、それら全てを愛おしむ気持ちはある。



だから先輩の言っている事は難しくて理解は出来ないけど、全然わからないわけではない。



本の話をしている時のわたしの顔が好きと言われた時は不覚すぎてドキリとしてしまったけど、それがタイプとかそういう類のものでない事はわかった。

きっとわたしが先輩の笑顔を好きな感覚と似ているのだろう。


だから、ほんの冗談のつもりで「先輩ってわたしの事好きですね」って言ったんだ。

すぐに否定されると思って。

だけど慣れない冗談なんて言うもんじゃない。




「まぁ、かわいーからね」



本気なのか冗談に乗ってくれたのかわからないトーンでそう言った先輩に、冷製パスタのトマトの味なんてわからなくなった。