キミと世界が青めくとき 【完】



「で、最近はどんな本を読んでたの?」

「────え?」



そんな事を考えていれば、いきなり振られた本の話に間抜けな声を出してしまった。



「え?じゃなくて。キミってたまにどこかにトリップしてる時あるよね」

「え、あ⋯そうですか⋯?すみません」

「まあ見てて面白いから別にいいんだけど」

「⋯はあ、」

「それで?最近読んだ本は?」



夏休み中でも先輩のこの質問は健在らしい。

それが嬉しくて、だけど知春先輩が本に興味がない事はわかってもいて。



「どうしてですか?」

「ん?」

「興味あります⋯?」



否定されるだろうなと思って口にした言葉は、不思議そうな顔をした先輩によってすぐに肯定される。



「普通に興味あるよ」

「本当ですか⋯?」

「うん、本当に」

「でも先輩、活字が苦手だって言ってたじゃないですか」

「うん、活字無理」

「ならどうして⋯」



いつもどんな本を読んでいるのか聞くんですか?って続くはずだった言葉は先輩の「澄にだよ」という言葉によって遮られて止まった。

澄に⋯って?



「あの、どういう⋯」

「興味ってのがあるのは、澄に」

「⋯はい?」

「澄と仲良くなりたいから、澄の好きなものの話をしてる」

「⋯?」

「え、これ以上ストレートな言い方見つからないんだけど」



よく言っている意味がわからなくて首を傾げたわたしに先輩が困ったように言う。



「まあ、一種の媚びってやつ?」



その顔はやっぱり笑っている。