キミと世界が青めくとき 【完】





「昼食べた?」

「まだですけど⋯でも別に食べる予定はなくて」

「何で?」

「何でって⋯、一人だし、いちいち食べるのも面倒っていうか、」



断ろうともこもごと喋るわたしに先輩は不思議そうにその目をパチパチさせた後「一匹狼ですみたいな顔して案外寂しがり屋ってわけ?」と楽しそうに笑う。

わたしには先輩の言っている意味がよくわからなかったけれど、未だに気まずさは拭えないから早くこの場を立ち去りたかった。

だから「それじゃあ⋯」と言いかけたのに、先輩の声がわたしの声に被さるようにして発せられたせいでわたしは帰るタイミングを失ってしまった。



「もう食べたとかじゃないなら付き合ってよ」

「⋯いや、わたしは、」

「ファミレスだけど、何か奢るからさ」

「⋯あの、」

「俺も一人ではあんま飯食べたくないし」

「でも⋯、」

「色々話したいこともあるしさ。ね?」

「⋯」



話したいことってなんだろう?なんて、考えていたのがいけなかった。

無言になったわたしが了承したと思った先輩は「んじゃ決まりな」と言ってさっさと歩き出してしまう。



「えっ、あの、わたし行くなんて一言も⋯!」

「デザートも食べていいから。パフェ食べる?」

「人の話を聞いてくださいっ⋯」

「暑いし早く行こーぜ」

「⋯⋯っ先輩!」



先輩は一度も振り返る事なく駅のすぐ近くにあるファミレス店へと向かっていく。

一度も振り返らないという行為がもう先輩に何を言っても無駄だという事を示しているみたいで、このまま放って図書館へと行く事も出来ずに仕方なくその背中を追いかけた。