キミと世界が青めくとき 【完】


もう先輩の言葉はその場のノリだったのだと確信した八月三日、お父さんは仕事に出掛け、お母さんは近所の奥さんと羽を伸ばして遠出をしに、そして凛は朝から遊びに行ってしまった為、わたしもいつもより早い時間に図書館へと向かう。

いつもはお母さんや凛と昼食を食べて少し休憩をしてから図書館へ行っているけれど、どうせ一人なら食べなくてもいいやと思った。


図書館までの道のりはこの凄まじい暑さのせいで果てしなく感じる。


途中に通る駅前の改札を出てすぐのところにミストが噴射されていて、学生らしき人や営業中のサラリーマンがその下を潜っていた。


わたしも、少し浴びて行こうかな。


まだ外に出て十分も経っていないというのに額には汗が浮かび、背中もベタついたいて気持ち悪い。ほんの一瞬ミストを浴びるだけでも大分違うだろうと改札前まで行った。







「──────澄?」



気持ちいい⋯と思いながら顔を少し上げたりなんかしてミストを浴びているわたしの後ろから掛けられた声。


その声には聞き覚えがあり、すぐに反応する事が出来た。



「あは、何してんのこんなとこで。水浴び?」



その人は今改札口を通って来たのか、そう言って笑いながら「うわ、涼しいな」と同じ様にミストの下までやって来た。



「──────知春先輩、」

「今日暑すぎるよなぁ、つーか今日ってよりここんところずっと暑すぎじゃね?」

「⋯」

「澄が水浴びしたくなっちゃう気持ちもわかるよ」



夏休み前と変わらずヘラヘラした態度で話しかけてくる知春先輩にわたしはどんな反応をしたらいいのかわからなかった。