キミと世界が青めくとき 【完】


「あと一週間で夏休みだなー」

「そうですね」

「澄は夏休み何か予定ある?」

「特には」

「寂しいやつだな」

「そう言う先輩は何か予定あるんですか?」

「ん?あるよ?友達と伊豆行ってー、花火してー、新しく出来たプール行ってー、」

「伊豆に行くのにプールにも行くんですか?」

「うん?」

「いや、伊豆といったら海じゃないですか。それなのにプールも行くんですか?」



冷房を効かせた図書室にはわたしと先輩しかいない。

窓も閉め切っているせいで、聞こえるのはブーンっていう冷房の音と、わたし達の声だけ。



「行くメンバーが違うんだよ。それに海行ったからってプール行っちゃいけないなんて決まりはないし」

「それはそうですけど」

「ま、今年は高校最後の夏だし?全力で遊びまくってやろーぜって話してるわけよ」

「先輩って本当に友達いたんですね」

「は~?本当に生意気だなお前」

「⋯すみません」



どうやら毎日放課後わたしと過ごしている先輩にも友達はちゃんと居たらしい。

絶対に人見知りではなさそうだから当たり前といえば当たり前なのかもしれないけれど、ならどうしてこうして先輩はわたしと過ごしているのだろうと不思議になる。



学校指定のネクタイを緩め、ワイシャツのボタンを第二ボタンまで開けている先輩は腕まくりまでしているのにまだ暑いらしく、



「温度下げていい?」

「いいですけど、体冷やさないようにしてくださいね。ブランケット貸しましょうか?」

「いや、それは何か勿体ないからいいよ」



入口付近まで行き、冷房の設定温度を変えている。

わたしはこの季節になると冷房で体が冷えないように膝にブランケットを掛けて本を読んでいるのだけど、それを先輩に渡そうとしたら断られてしまった。


一体何が勿体ないのだろうと思うけれど、もしかしたらわたしの使っているブランケットというのが嫌なのかもしれないと思いそれ以上は何も言わなかった。