ストレートなその言葉に、どんなリアクションを取ればいいのかわからなくて二人の間に訪れたのは息苦しい沈黙。
わたしが考えすぎで過剰に反応し過ぎだという事はわかっている。
だけどドクドクと速くなる心臓を抑える事が出来なかった。
それがどうしてなのか、自分でもわからなかった。
ただ、優しくして欲しい思いと現実とのギャップに酷く傷ついたのかもしれない。
凛の事を知らない知春先輩の前でわたしは劣等感を出したくなかったのかもしれない。
ダメな自分を隠していたかったのかもしれない。
「やさ、優しい人がいいです⋯」
「うん」
「わたしは、優しくされたいです」
「うん」
「⋯今日はもう帰ります」
半ば逃げる様にして立ち上がったわたしは読み終えた本を本棚へ戻して足早に図書室を立ち去る。
そんなわたしを先輩がどんな気持ちで見ていたのかなんて知る由もないけれど、きっと変な人だと思われたかもしれない。
変な先輩に変だと思われるのはなんだか癪だけど、簡単に答えればいい質問にしどろもどろになった挙句急に逃げる様に帰るわたしはどこからどうみても不可解だっただろう。
「またね、澄。また明日」
図書室を出る間際、いつもと変わらない声色でそう言った先輩になんだか泣きそうになった理由はわからない。



