キミと世界が青めくとき 【完】





「本当に傘を差さないで過ごしてたんですか?」

「さすがに朝は傘を差してたよ。びしょ濡れのまま学校には行けないから。でも帰りにも雨が降ってたら、畳んだ傘を持ってそのまま走ってた。ま、家に帰ったら母親が毎回俺の頭にゲンコツ落としてだけど」

「当たり前ですよ」

「うん。母親の気持ちが今なら理解できる。当時は男のこと何もわかってねぇ!と思ってたんだけどね」

「先輩も成長したって事ですね」



きっと雨の度にびしょ濡れで帰宅する息子にお母様は頭を抱えていた事だろう。

むしろ発狂寸前だったかもしれない。

わたしだったら絶対に嫌。

風邪を引くんじゃないかって心配もあるし、びしょ濡れのまま家に入って来られても困るし。


だけどそれをカッコイイと思っていた小学生の知春先輩を想像すると少しだけ、微笑ましい気もする。



「馬鹿ですけど、可愛い小学生だったんですね」

「あーこの話澄にしない方が良かったかも。すげー馬鹿馬鹿言うじゃん」

「だって馬鹿過ぎません?」

「また言った」



そう言いながら柔らかい表情を作る先輩は、テーブルの上に置いてあったカメラに触れる。



「俺が写真を撮るようになったのも、雨がキッカケだったんだよ」