「で、わがままな吉川さん、クイズの答えをどうぞ」
若干棘を感じる声に「すみません」と謝りながら、そもそもどんなクイズだったっけ⋯?と思考を巡らせる。
「カッコつけたいと傘を差さない事の関係、でしたっけ?」
「うん」
「見当もつきません」
「うわ、適当過ぎだろー」
「すみません」
少し面倒だなと思っているのは先輩にもバレバレだろう。
「後輩なら先輩の遊びには付き合えよ」と冗談交じりに言われた。
「じゃあ、答え言うぞ?」
「はい」
「水も滴るいい男って言葉があるじゃん」
「はい」
「モテたいしカッコつけたかった小学生の俺は、雨に濡れる事がカッコイイと思ってたんだよ」
「⋯」
「だから雨の日は傘を差さないでびしょ濡れになってた。俺、水も滴るいい男じゃん!って思いながら」
「⋯」
「男たるもの傘なんてモンに頼らずそのままで行けよ!みたいな事も思ってた気がする」
「⋯」
「⋯って話」
「⋯」
「何か言えよ」
「小学生男子って、馬鹿な事を本気で思ってますよね」
「キミって大人しそうな顔して意外と毒舌だよね」
「だって今の話、馬鹿の話じゃないですか?」
「先輩だぞ、俺」
先輩に向かって馬鹿なんて、きっと知春先輩以外には言えない。
ならなんで知春先輩には言えるのかっていうと、知春先輩がそれを許してくれている以外にないだろう。
本気で怒ることをせず、楽しそうに笑っている。
それがわかるから、わたしもありのままの自然体で居られる。



