その瞳が心地悪くて、無意識にノートを持つ手に力を込める。
「な、何か⋯」
「いや?自分の書いた感想見てニヤけるなんて変わってるなーって」
「!に、ニヤけてました?」
「ガッツリ。それはもう変態オヤジの如くニンマーリと、」
「わわわ、忘れてください⋯!」
まさか自分がそこまでだらしない顔をしていたなんて自覚は全然なくて、慌てて先輩の顔の前で手をブンブンと横に振る。
「いーじゃん、人間らしい顔してたよ」
「意味わかんないですし、忘れてください!」
「自分の感想見てそこまで笑えるってキミ意外とナルシストだったり、」
「忘れてくださいっ!」
まさか感想ノートにくる返事がここまで自分の中で大きな存在になっていたなんて⋯。
それもなんだか恥ずかしいし、先輩は返事の事を知らないからわたしが自分で書いた感想を見て笑っていると思っているからそれもそれでかなり恥ずかしい。
だから急いでノートわ棚へと戻し、定位置である窓際へと向かう。
先輩も「恥ずかしがんなくても澄がかなりのナルシストだって事は内緒にしておくから」なんて楽しそうに笑いながら着いてきて、わたしの隣へと座る。
ふわりと香るのはやっぱり、柔らかい良い匂いだった。