キミと世界が青めくとき 【完】


「そういう澄はいんの?彼氏」

「いないってわかってますよね」

「わかってないよ」

「わたしなんかに彼氏がいるように見えますか?」

「彼氏がいるようには見えないけど、“なんか”とは思わない」

「⋯、」

「フツーに可愛いよ、澄は」

「軽すぎてビックリです」

「なんか似たような会話前もした記憶があんだけど」

「⋯ですね」



可愛いは先輩の口癖なのか、たまに言われることがある。

もちろんそれを鵜呑みになんてしていない。

きっとお世辞だろうってわかっているし。

だからそれは普通にサラッと流せる。

だけど⋯、



「わたしなんかって思うのやめた方がいいよ?」

「⋯っ」

「誰と比べてんのか知らないけど、澄は“なんか”じゃないから」

「⋯っ」

「そうやって自分を卑下ばっかしてると本当に“澄なんか”って自分になっちまうぞ」

「⋯⋯す、」

「ん?」

「すみま、せん⋯」



これは流すことなんて出来なかった。

今まで気にしたことなんてなかった。

何も気にせずいつもわたし“なんか”って思ってしまっていた。


だけど、そうか。

もしかしたら卑下する事で周りを嫌な気持ちにさせている可能性もあるのか。



たぶん、わたしはこの時知春先輩が言いたいことをきちんと理解出来ていなかったと思う。

この時に先輩の言葉を正しく理解出来ていれば、この卑下してしまう自分を変えようと思っていれば、あんな事になることはなかったかもしれない。