キミと世界が青めくとき 【完】




「ど?どっちが嘘かわかった?」



至近距離で紡がれた声に、ハッと意識が覚醒する。



「え⋯、あっ、と⋯すみません、あの、」

「澄の目線が俺の顔の色んなところに向いてるから見蕩れてんのかなー?って思った」

「⋯すみません」

「おいおい、これで謝ったら“そうです”って言ってる様なもんだぞ?」

「どっちが嘘かって話ですよね、えっと⋯」

「無視かよ」



ははっと笑った知春先輩の瞳をじっと見つめるわたしの心臓はドクドクと騒がしかった。


見蕩れてしまっていたのは事実だから。

でもそれはわたしだけが特別ってわけじゃなくて、綺麗な顔の人を目の前にしたら誰だってじっと見蕩れてしまうと思う。

だから変な意味じゃない。

何もわたしが変なわけじゃない。


そう言い聞かせて知春先輩の瞳を観察した。



色素の薄い淡いブラウンの瞳の周りには、膜はないように思える。

それを縁取る異物感もない。



「自前なんですね」

「うん、あたり」

「綺麗な色ですね」

「じいちゃんからの遺伝なんだよ、これ」

「遺伝?」

「俺のじいちゃん外国人なの。じいちゃんと同じ色」

「そうだったんですね⋯」



確かに言われてみれば、先輩の顔立ちは目鼻立ちが整っていて、ほんのりと異国の血が混ざっている気がしなくもない。

日本人に見える顔だけれど、純日本人だと言われれば、平均的とは言えない綺麗さに疑問が残るだろう。


だから妙に納得がいった。


その綺麗な顔立ちにも、パッと目を引く色素の薄いその瞳にも。


お爺様が外国人の方なら納得出来る。