「その写真あげる」
「自分の写真を飾れと?」
「飾るかどうかはキミ次第だけど、捨てないでくれたらそれでいいよ」
「頂いておきます」
「うん。ありがとう」
自分自身が好きじゃないから、自分の写真だって好きじゃなかった。
写真に撮られる事だって、好きじゃない。
だけど捨てるのはあまりにもったいないと思う。
それはわたしが写っているからという事ではなくて、この写真がとても綺麗だから。
生徒手帳をブレザーの内ポケットから取り出して一番最後のページに写真を挟む。
「そういうのって普通彼氏の写真とかを挟んでおくんじゃないの?」
「彼氏なんていませんし⋯」
「それじゃナルシストっぽくね?」
「どうせ誰も見ませんから」
「それもそっか」
さすがに自分一人しか写っていない写真を写真立てに入れて飾るのは恥ずかしい。
だけどどこかに仕舞っておくのも、もったいない気がする。
だから常に持ち歩く生徒手帳へと挟んだ。
それに対して先輩は何か言っていたけれど、最終的には嬉しそうに笑ってくれた。
「今日撮った写真も現像して明日あげる」
「⋯それは遠慮しておきます」
「恥ずかしい?」
「わたしの写真を撮るなら責任もって自分で保管しててくださいよ。というよりわたしの写真なんてもう撮らなくていいですから」
「正直だね、澄は」
知春先輩はふわふわした人だ。
常に浮かべている笑みも、柔らかい声も。
紡ぎだす言葉や相槌まで、ふわふわしている。



