キミと世界が青めくとき 【完】




放課後になり、読み終えた恋愛小説を手に図書室へと向かう。

途中、隣のクラスの広大とすれ違った。



「お前また図書室行くのか?」

「うん」

「毎日毎日よく飽きねぇな」

「⋯飽きないよ。本読むの好きだし」

「⋯そーかよ。じゃ、またな」

「また明日ね」



きっと広大はわたしのこういう所をつまらないと思っているのだろう。

凛と話す時に見せるような笑顔をわたしには向けてくれない。

昔から本ばかり読むわたしを根暗なやつ。とでも思っているのだろう。

こんな暗いやつが俺の幼なじみとか最悪って思っているのだろう。



広大の方を振り返って、友達と楽しそうに話すその横顔を眺める。

⋯やっぱり、この想いはわたしだけの中で秘密にしておきたい。

わたしなんかに好きと言われても困るだけだろうし、わたしだって必要のない傷は作りたくない。

わたしだけの想いにしておくべきだ。秘密にしておくべきなんだろうな。

そう思いながらわたしは図書室へと急いだ。