キミと世界が青めくとき 【完】



うちの高校には、本館と旧校舎がある。

本館の校舎が新しく立て替えられる前に本館として使っていた旧校舎にはコンピューター室や大教室、自習室などがありそのほとんどの部屋は物置として使われている。


本館と旧校舎は渡り廊下で繋がっていてわたしはお昼休みになるとその渡り廊下のすぐ横にあるベンチでお弁当を食べている。

入学してからずっと晴れの日はここでお昼を一人で食べているわたしが初めてこの場所を見つけた時にもあったベンチ。というか、人気のない場所で丁度よくベンチがあったからここをお昼ご飯を食べる場所にしたのだけど⋯。


どうしてこんな所にベンチがあるんだろう?そんな疑問はここで食べ始めてすぐの頃にたまたま通りかかった勤続の長いお喋りな先生によって解決した。


なんでも、数年前に美術部員が休憩の為に中庭から引っ張ってきたらしいベンチ。

その部員は美術室の椅子の硬さが嫌になるとよくこのベンチに寝っ転がって伸びていたのだとか⋯。


少し笑ってしまうこの話。

確かに美術室は旧校舎にあるし、美術室の椅子は木で出来た背もたれもない正方形をした長時間座るのは躊躇われる椅子だ。


だけどいくらおしりが痛くなるからといってベンチを引っ張ってくるかなあ?

きっとその人は余程椅子が嫌だったのだろう。

だけどきっと、絵を描くことは大好きだったから部活を休むのではなく休憩用のベンチをここまで持ってきたのだろう。


その話を聞いた時、わたしはその人が描いた絵を見てみたいと思った。

つい口から零れたそれを聞いた先生はそのままわたしを美術室へと案内してくれてその人の描いた絵を見せてくれた。