キミと世界が青めくとき 【完】




翌朝も凛と広大と一緒に登校する。



「なんか澄、クマ出来てね?」

「あ、うん。昨日夜遅くまで本読んでて⋯」

「部屋の電気消した後もベッドライトで本読んでるんだよ?どんだけ好きなのって話だよ」



広大の指摘に凛は呆れた感じで言葉を返す。



「朝もコンシーラーで隠した方がいいよって言ったのに面倒だからってそのままでさあ⋯」

「結構目立つぞ?」

「家系的にウチは色白なんだから、本当そういうところ気を付けた方がいいよ!?お姉ちゃん!」

「だって普段メイクとかしないし⋯。ていうかそもそも凛、メイクは校則で禁止されててね、」

「朝からお説教なんて聞きたくないよ~!」



いやー!と叫びながら両耳を塞ぐ凛は「大体そんな校則誰も守ってないから!ねっ?広大」と広大を味方につけようとする。
広大も広大で校則違反を注意するのではなく「そうだぞ澄。校則は破るためにあるんだぜ?」と何故か得意げに馬鹿げたことを言う。

校則が破るために存在しているはずがないでしょ。

だけどそれをこの二人に言うのはお門違いというか、無意味だ。


凛はメイクもしているしスカートだって短い。
広大だって髪を明るく染めてピアスをしている。

どれも校則違反。

そしてそれはほとんどの生徒もしている事。



「ホントお姉ちゃん堅物なんだから~」



アハッと笑う凛に悪気はないのだろう。

だけどわたしの心は笑われる度に影が差す。

馬鹿にされているようで。

貴方とわたしは違うんだって言われているようでイラつきというよりは、不甲斐ない自分に嫌気がさす。

隣で同じように笑う広大にも深く傷つく。
好きな人に嗤われて平気な人なんていないだろう。

例え広大にその気がなくてもわたしは自分自身が恥ずかしくなってしまう。



「堅物とかじゃなくて、本当のことを言ってるだけだよ」

「だからそういうのが真面目だって言ってるんだよ?」

「⋯もういい。先行ってる」

「あっ、お姉ちゃん!」

「澄!」



傍から見れば怒って先に学校へと向かっていった様にみえるのだろうか。

実際はただ、二人から逃げただけだ。