キミと世界が青めくとき 【完】





「でも何で澄はノートに返事を書いてるのが俺だってわかったの?」



まだ微かに頬を染めながら不思議そうに聞く先輩にわたしは「だって」と言葉を続ける。



「わたし、青色が好きだなんて一言も言ってないですもん」

「⋯え?」

「栞をくれた時、<澄は青色が好きでしょ?>って先輩は言いましたけど、わたしは先輩に青色が好きだなんて一言も言った記憶がないです」

「⋯」

「というより、赤と青の色違いの物を両親はよく買ってきてくれたんですけどわたしが欲しいと思った青色は凛に取られてきたので、周りのわたしのイメージは赤だと思うんです。きっと広大もわたしが青色が好きなんて知らないんじゃないかな」



今でこそお小遣いで自分の好きな色の文房具や小物を買う事が出来るけれど、だからと言って全てを青で揃えているわけではない。

海が好きだと言ったし、澄という名前が好きだと言った事もあるけれどその時に<青色が好きだから>と言った覚えはない。


もしかしたら海等の話から無意識のうちに先輩の中でわたしは青色が好きだと思ったのかもしれないけれど、先輩が感想ノートの彼だったのなら⋯⋯、



「前に、<青色がわたしは好きなのだけど、この本は特に深い青色をした表紙が綺麗だ>って感想ノートに書いた事があるんです」

「⋯⋯覚えてるよ」

「わたし誰かに青色が好きと言った事ないんです。知ってるとしたら凛か両親くらいしか」

「⋯」

「だからこの前先輩と話した時、もしかしたら⋯って。そしたら本当に先輩が感想ノートに返事をくれていた人だったからビックリしましたけど、嬉しかったです」

「⋯僕とか書いてて超恥ずかしいじゃん、俺」

「カモフラージュだったんですか?」

「カモフラージュっていうか、なんかちゃんとしないとなって思って畏まった」



畏まったって⋯。

そういう所も先輩らしい。


話している時はいつも笑っているのにメッセージアプリ等になると素っ気なくなったりする先輩は、雑で右上がりでノートの行間なんて一切気にしていない字で返事を書いていたのに一人称は普段の俺から僕な変えていたらしい。

そういう所も、好きだと思う。