「いつから⋯?」
「いつからって言われてもな。多分、初めからだったんじゃない?」
「初めから⋯?」
質問ばっかのわたしに先輩は何故か嬉しそうに笑いながら、丁寧に答えてくれる。
それがそれだけ先輩がわたしを想ってくれているかをしっかりと伝えてくれていた。
「最初澄を見た時、凄い綺麗だなって思った。本を読んでる姿っていうのかな?澄の持つ雰囲気が好きだと思った」
「⋯雰囲気、ですか?」
「真剣に読んでるのに時折笑ったり⋯嗚呼、この子は本を読むことが本当に好きなんだなって思って、俺もカメラに熱中してたから、好きなものを持つ澄にシンパシー的なものを感じたのかも。上手く言葉では言い表せないけど、敢えて言葉にするなら引き寄せられたって事かな」
「引き寄せられた⋯」
「この子と話してみたいって思って、実際に話してみたら面白くて、距離が縮まれば縮まるほど澄のことをもっと知りたいって思った」
「⋯わたしのことを?」
「澄が見ている世界、感じているものを俺にも分けて欲しいって。俺は本を読んだりするタイプじゃないけど、澄がそれを好きだっていうならその気持ちは同じように大切にしたかった」
「⋯っ」
「澄の世界に俺を入れて欲しかったんだ」
その言葉を聞いた瞬間、目の前が光が射し込んだみたいに輝いたように感じた。
実際はそんな事ないだろうけれど、わたしの見ている風景が青く美しく、煌めいた。
例え、同じ趣味を持ってくれなくてもいい。
好きなことは人それぞれだし。
だけど、大切な人にだからこそ自分の好きなことを同じ様に大切にして欲しいとは思う。
それを知春先輩は初めて会った時からしてくれていたんだ。
毎回何の本を読んでいるのか聞いてくれる事も、わたしの話を飽きもせず聞いてくれる事も、全部そうだ。
先輩はいつだって丸ごとわたしのことを受け入れて、それでいて愛を持ってくれていた。
「澄、好きだよ」
「っ」
「返事聞かせて?」
淡いブラウンの中に、わたしが映る。
それだけで心臓が跳ねて呼吸の仕方さえわすれてしまったかの様に胸が苦しくなる。
どうしようもなく、好きだと思った。



