キミと世界が青めくとき 【完】





翌日は放課後までの時間がとても長く感じた。


それは早く先輩に会って話したい気持ちが強いからで、お昼休みに会えないかなと期待したけれどベンチに先輩が来ることはなく、そのまま放課後になった。

もしかしたらもう先輩は図書室には来てくれないんじゃないかって不安な気持ちのまま図書室へ向かう。


シンとした図書室のいつもの席に座れば、その窓からは野球部が練習をしている光景がグラウンドに広がっていた。


一心不乱にバッドを振り、白球を追いかける泥だらけのユニホーム姿。

それがとても眩しく見えたのは、きっと彼らも野球というスポーツが好きだからだろう。

泥だらけになっても、例え夏の地区大会で敗退したとしたも、懸命に練習に打ち込む彼はとても輝いている。


「青春、だなあ」


呟いた言葉に胸がキュッと痛んだのはどうしてだろう。

知春先輩は、来てくれるだろうか。

それとももうここへは来てくれないのだろうか。


テーブルの上に置いた感想ノートには、新しく返事が来ている。

昨日一昨日とノートを開いてはいないからこの返事が書かれたのが正確にいつなのかはわからない。


<今度、オススメの本教えて>


感想ノートに書かれた文字はやっぱりどこか雑で、右上がりで、だけどこれが彼の文字なのだと思ったらなんだかすごく可愛らしくて、愛しく見える。

無意識のうちにその文字を指先で辿って撫でる。


と、その時図書室のドアが開く音がして─────振り返った先には、




「澄」




待ち遠しかった、知春先輩の姿。