キミと世界が青めくとき 【完】




その夜は凛との蟠りが解けた事もあってかぐっすり眠れるはずだった。

だけど知春先輩が頭から離れず、ただ布団に入って寝転がっているだけだというのにドキドキと心臓が脈打ってなかなか眠れなかった。



広大を純粋に好きだった時なんて小学校の頃の話で、あの頃とは見えているものも感じている事も今とは全然比べようがないけれど、恋ってもっと激しいものだと思ってた。

ほとんど恋愛経験が皆無に近いわたしにはどんな感情が恋で、どう感じたらその人のことを好きだなんて全くわからない。

けれどわからないなりに考えてみて、わたしは先輩のことが好きだと思った。


燃え上がるような恋ではないけれど、気付いたら恋していた。

知春先輩への特別な想いは柔らかく、いつの間にかわたしの中に芽生えていた。




「⋯⋯不思議、」



だと思う。

だって初対面の時わたしは先輩のことを好きになるなんて一ミリだって思っていなかったし、不審者だとすら思ったくらいだ。

それなのにいつの間にか心を開いて、仲良くなって、特別になって⋯。


考えれば考えるほど人の心とは不思議なもので、だけど考えるだけこれは必然だったんじゃないかって思う。


わたし自身を見てくれて、わたしの好きなものを大切にしてくれる。

色んな景色を見せてくれて、わたしの世界を広げて煌めかせてくれる。


そんな先輩を好きにならない方がおかしいって思うくらいには、先輩のことが好きなのだ。


凛に言われなきゃ気付かなかったくせに調子が良いけれど。



目を閉じれば、今日の先輩の困ったような傷ついた様な顔が浮かんでくる。


こんなにもわたしに優しさを与えてくれた人に、好きな人になんて顔をさせてしまったんだろう。

もしも先輩の話をちゃんと聞いていたら⋯。

もしも凛と先に話す事が出来ていれば⋯。


タラレバはキリがない。


だからこそ、もう後悔したくない。

もう、先輩のあんな顔を見たくない。



明日、全ての気持ちを伝えよう。




結局眠りにつけたのは、深夜頃だった。