「正直な事を言うとね、わたしはお姉ちゃんになりたかった」
「わたしに?」
嘘だ、って思った。
だって凛がわたしになりたいなんて天地がひっくり返ったって有り得ない。
まさに青天の霹靂。
だけどやはり、その言葉が嘘だと言いきれないのは凛の表情には偽りが一切ないからで。
「両親から期待されて、広大から愛されて。周りに人は多くないかもしれないけど、わたしが欲しかったものをお姉ちゃんは何でも持ってた。好きなこともあって、お姉ちゃんは完璧だったの」
「⋯」
「だからお姉ちゃんになりたくてお姉ちゃんが選ぶものを欲しいって駄々を捏ねたし、言ってしまえば完璧なお姉ちゃんから何かを奪いたかった」
「奪う⋯、」
「両親も広大も好きなものを奪えるはずがないから、わたしは物を奪った。お姉ちゃんが欲しがりそうな色、お菓子、おもちゃ、服。なんだってわたしの物にしたかった」
「⋯お姉ちゃん、ごめんね」
「⋯っ」
「わたしがこういう性格だからお姉ちゃんも苦しい思いしたよね」
きっと、どっちが悪いとか嘘だとかはなくて。
わたし達はお互いに意識し過ぎていた。
双子だからって比べられる事が多くて、それで相手の良いところばかりに目がいってしまって、自分らしさに気付けていなかった。
自分自身から目を逸らし続けてしまっていた。
両親から愛される凛から見たらわたしは両親から期待される出来た姉で。
広大と仲良しに見える凛から見たわたしは広大の好きな人で。
何でも持っていると思っていた凛から見たわたしは好きなことがあるキラキラした人間だった。
────わたしに今まで向けられた意地悪は取るに足らない些細なことだったのかもしれない。
凛はこうなのにって比べられてきた事は本当はどうでもいい事だったのかもしれない。
だって両親はきっとわたし達二人を別の人間として見てくれていた。その上で二人を愛してくれていた。
広大だってわたしと凛、二人が大切だって言ってくれていた。
そういう事を一つ一つ、わたし達は見落としていたんだ。



