「友達がたくさんいるって楽しいし、友達がいない生活なんて考えられない。だけどたまに疲れる事もある」
疲れるなんて考えた事なかった。
たくさんの人の真ん中で笑う凛はいつだって楽しそうで幸せそうで。充実しているんだろうなって思っていた。だけどそう見えていただけで実際は違ったのかもしれない。
わたしが悩み、苦しんだ様に凛も窮屈さを感じていたのかもしれない。
「お姉ちゃんは確かに本ばっかだし、人付き合いも下手で器用なのか不器用なのかわかんないけど、わたしは出来た姉を持ってしまったって思ってる」
「わたしが出来た姉⋯?」
「テストでそこそこの点を取ってわたしは褒められるけど、お姉ちゃんは100点じゃないと褒められなかったし自分から褒めてって言えるタイプではないじゃん。そういう所がムカついたし格好良いって思ってたし、両親から期待されているんだって感じて⋯羨ましかった」
「⋯羨ましいって⋯、」
「それにお姉ちゃんは好きなものがあるじゃん。わたしはそれが一番羨ましい」
「好きなものって、本を読むこと?」
「そう。昔から変わらず大切なものがある。それがないわたしにはそれを持っているお姉ちゃんが羨ましくて羨ましくて仕方なかった」
顔を上げてどこか遠くを見つめる凛の瞳は寂しげに揺れていて、わたしは思わずその体を抱きしめたくなった。
嫉妬していても憎くても、やっぱり凛は妹だから。家族を嫌いになりきれる程、わたしは強くない。
「⋯凛にもあるでしょ?好きなことやものが」
「ないよ、ない」
だけど寂しげな凛にだって好きなことの一つや二つはあるはずだ。
「わたしには本当に好きって言えるものがない。⋯だからなんだろうね、わたしがお姉ちゃんの物ばっか欲しがるのって」
「それとこれに何か関係あるの?」
「大アリだよ!」
わたしの問に大きく頷いた凛がテーブルから腰を離して一歩わたしの方へと近付いてくる。
不思議と凛へと怒りは無くなっていた。



