静まり返った図書室にはわたしと凛の二人だけになる。
気まずいとも違う、形容し難い空気感はきっとお互い感じているはずで⋯、それでも言葉を先に発したのは凛の方だった。
「お姉ちゃんて結局自分のことしか考えてないよね」
「⋯は?」
「結局一番の被害者は自分で、自分が一番可哀想だって決めつけてる」
「何が言いたいの?」
「吉川澄を一番可哀想って見下してるのは吉川澄自身だって事だよ」
普段凛とは違う落ち着いていて冷たい声にわたしは思わず言葉に詰まる。
だって、こんなの知らない。
こんな凛は知らないし、根底にある詰まりを凛は抉り取っていくからわたしはただただ戸惑う事しか出来なかった。
「お姉ちゃんは最低だよ」
「⋯っ」
「最低。一人で勘違いして被害妄想膨らませて、橘先輩のこと拒絶して⋯どうして先輩のことを信じないの?」
「信じる⋯?」
凛は何を言ってるんだ。
凛が先輩をわたしから奪い取ろうとしたんじゃないか。
先輩だってわたしに困ってるって凛が言ったんじゃない。それを先輩だって否定しなかったじゃんか。
それなのにっ⋯─────。
「わたし、ずっとお姉ちゃんが羨ましかったんだよ」
怒りなのか悲しみなのかわからない感情が体の奥の方から湧き上がってきて、それが酷い言葉や涙として体の外に出てきてしまう前に凛が発した言葉はあまりにも信じ難いものだった。
信じられな過ぎて、怒りや悲しみなんて消え失せてしまう程にその言葉は衝撃的だった。



