ガラッ────と勢い任せに開けたドアの向こうで先輩と凛は向かいあって立っていた。
二人はわたしが聞いているとは思っていなかったのか揃いも揃って驚いた顔をしていて、その顔が酷く間抜けに見えた。
だってここは元々わたしの場所だったのに。
わたしは毎日ここに来ているのだから今日だって来ないはずがないのにどうして驚いているの?
話の内容に後ろめたさがあるから?
そもそも凛は後ろめたさなんて感じる性格だろうか。
「澄、」
わたしはどんな顔をしていたんだろう。
先輩が困ったように眉を下げてわたしの名前を呼んだ。
「⋯先輩、困ってるんですか?」
「え?」
「わたしに困ってるんですか?」
口にした声は、到底自分から出たとは思えないほど低く冷たくて先輩が息を飲むのがわかった。
ちゃんと考えれば真実は見えたはずなのに、それなのにわたしは凛に先輩を取られてしまうかもしれないという恐怖から全てのものが敵に思えて仕方くなってしまった。
拒絶されるくらいなら自分から拒絶してやる。
もう傷付きたくない。
もうこれ以上凛という存在に苦しめられたくない。
頭を占めるのはそれだけだった。



