ドクンッと打つ鼓動は息をも止めた。
全くの想定外の出来事に頭が追いつかない。
行動も思考も視線さえも、動かないまま人形のように固まるわたしに図書室の中にいるであろう二人は気付かない。
嫌な予感がした。
このまま立ち去れって頭が警鐘を鳴らす。
それでも体が鉛のように重くなって、接着剤でくっつけられたみたいにこの場から動く事が出来なかった。
──────どうして凛がいるの。
凛が図書室に来た事なんて一度もないはずなのにどうしてか凛はここにいる。
その目的は、知春先輩しかない。
どうしてどうしてどうして?
何をしに来たのだろう。
何を言いに来たのだろう。
分からないから怖い。凛の考えている事がわからない。ただ一つわかるのは、また取りに来た。という事だけ。
わたしと親しくしている先輩を凛は取りに来たのだ。
わたしに先輩はふさわしくないと。
だってそうじゃなきゃ、
「お姉ちゃんなんてやめてわたしにしませんか?わたしならこんな風に先輩を困らせたりなんてしませんよ」
囁くように言ったりしないでしょ?
「キミは澄と違って冗談を言うタイプ?」
「先輩はお姉ちゃんとわたし、どっちが好きですか?」
黙って欲しいと思った。
先輩の前で凛とわたしを比べないでと言いたかった。
その答えなんてわかっているから⋯。
だからもう、楽しそうに言葉を紡いでいく凛とは反対に、黙れって、泣きたくなったんだ。
「俺は─────、」



