放課後になり、わたしは一目散に図書室へと向かう。
早く先輩に会いたくて、確かめたくて。
だけど運の悪い事に図書室に向かう途中すれ違った教師に荷物運びを手伝わされてしまって、大量のノートの¹∕₃を共に職員室まで運ばされた。
提出物のノートはわたしのクラスのものではないのに、どうしてわたしが運ばなければならないんだろう?と不満を持ってもそれを口に出す勇気はなく、早く図書室へと向かいたい気持ちを抑える。
時折、こういう事はあった。
真面目と評されて、大人しそうな生徒だからか雑用の手伝いみたいな事をさせられる。それは別によかったけれど、今日は別だ。
「すまんな、手伝わせてしまって」
ノートを職員室まで運んだ後、悪いと思ってもないくせにヘラヘラと笑う教師に「いえ」と返事をして一目散に背を向ける。
「吉川、外はまだ雨だからな。気を付けて帰れよ」
手伝わせておいてよく言うよ、と思いながら足は下駄箱ではなく図書室の方へと向かっていた。
ここで下駄箱の方へと向かっていたら、わたしの未来はまた違ったものになっていたかもしれない。