キミと世界が青めくとき 【完】





広大と話をしようと選んだのは図書室。


放課後の図書室には基本的に誰も来ない事は誰よりもわたしが知っているし、わたし以外の唯一の来訪者である知春先輩は今日は来ない気がしたから。

きっと先輩は何となく広大と話をするならわたしがここを選ぶってわかっている様な気がした。本当に何となくだけど。


実際に先輩は図書室には居なくて、紙の匂いのする空間にはわたしと広大の二人しかいない。



「図書室とか初めて来たかもしんねぇ」



そう言いながら入口付近にあるテーブルに浅く腰を掛けた広大は「で、話って何だよ」と冷たく言った。

広大がテーブルに座っているせいで目線が同じくらいの高さになって、そういえば小学生まではわたしと凛の方が背が高かったのにな⋯なんて場違いな思い出が頭を過ぎる。




「─────昨日は、ごめんなさい」



広大の目を真っ直ぐ見つめながらそう口にしたわたしに広大は僅かにその眉根を寄せた。



「どういう意味だよ」

「昨日、酷い事ばっか言ってごめん」

「⋯酷い事って、」

「本当はあんな事思ってない。昨日はついカッとなっちゃったけど本当はちゃんとわかってる。広大が同情とかで仲良くしてくれていたわけじゃない事くらいわかってる」



広大は戸惑う様に顰めっ面をしながら何度か視線をさ迷わせているけれど、次第にその表情からは力が抜けていく。



「わたしは⋯、友達もいないし、本ばかり読んでいて広大や凛と違って明るい性格でもないし、こんなわたしが幼なじみなんて嫌だって思う事もあるかもしれないけど、だけど一度も広大はそんな事言ったことなかったよね」

「⋯」

「きっとこう思っているだろうっていう、わたしの被害妄想でしかなかった」



広大や凛は向こう側の人間だと線を引いていたのはいつだってわたしの方で。

友達もいない暗くてつまらない奴が幼なじみなんて恥ずかしいなんて広大は一言も言った事がないのにそう決めつけていた。



「もしわたしが恥ずかしかったら、嫌いだったら毎朝三人で登校したり話したりなんてしなくていいだけなのに⋯」



幼なじみだからって仲良くしなけらばいけないなんて決まりはないんだから。だけど広大はわたしを無視したり、絶交だって言う事もない。

それが全てだっのにわたしはそんな事にも気付かないで昨日広大に酷い言葉を放った。