「広大は誰よりもわたし達は双子を知っています」
「⋯そうだね」
「だから、広大が凛を選ぶなら仕方ないって諦められたんです」
もし、広大ではない誰かに恋をしていたとして、その相手が凛を知った時にきっとわたしよりも凛に惹かれると思った。
だって今まで誰一人として凛よりわたしを選んだ人はいなかったから。
それがどんどん劣等感を植え付けていったから。
もし、好きになった人が凛を選んだ時わたしは耐えられないと思った。それこそ二度と立ち直れない程にショックを受けるんじゃないかって、想像しただけで恐ろしくなった。
自分の大切な人が自分ではなく凛を選ぶ。
とても、怖かった。
だけど広大ならそれが許せた。
誰よりもわたしのことも凛のことも知っている幼なじみの広大なら、凛を選ぶ事を許せたんだ。
明確な理由はわからない。
ただ、誰よりもわたし達と共に過ごした広大が凛を選ぶなら仕方ない。だって誰よりもわたしと凛を知っている広大が凛を選ぶのなんてわかりきっている事だし、当たり前だ。それが普通だ。誰よりもわたしと凛を知っている広大が凛を選ぶなら何も怖くなかった。
心の底から納得出来た。
これ以上藻掻くことの出来ない、決定的な王手だ。
だって、誰よりもわたし達を知っている人が凛を選ぶ。それならしょうがないやって諦められる。
凛が広大を好きで、広大も凛を好きだったその時にはわたしは二人を本心から応援するって本気で思えたんだ。
だけど結局それはただの諦めでしかない。
自分が誰からも必要とされない人間なんだって事実から目を逸らす為の予防線でしかなかった。
昔は本当に好きだったはずなのに⋯。
好きになったキッカケは思い出せなくてもちゃんと、広大に恋をしていたはずなのに。
いつしかその想いは形を変え歪み始めた。
わたしが自分自身を守る為に歪になった。
もう広大を想っていないのに、広大じゃないと許せないから広大を好きだと錯覚した。言い聞かせた。他の人に恋をして傷つかない様にって⋯。



