「先輩、わたし思ったんです」
こんな、お弁当を食べながらする話ではない事はわかっていたけれど、今ならありのままの気持ちを話せる気がした。
「昨日、先輩に広大の事が好きなんだって解釈された時、わたしは自分の気持ちがよくわからなくて⋯わからない時点で広大への気持ちがない事は明白なのに、それをハッキリと口にする事が出来なかったんです」
いきなり語り出すわたしに先輩は面倒くさがる事なく、パンを齧りながら耳を傾けてくれる。
ちゃんと聞いてくれているのに、その構えていない感じが凄く話しやすくてわたしは言葉を続けた。
「広大のことは好きでした。なのに⋯、昔はちゃんと好きだったはずなのに、いつの間にか広大への好きだという想いは歪んでいたのかもしれません」
「歪んだ?」
「広大を好きでいなきゃいけないっていうか、広大を好きだと思い込んでいると楽だったんです」
「楽ってどういう事?」
「わたし、凛に劣等感ばかり抱いていて常に自分に自信なんてなくて、誰からも好かれない、必要とされない人間だって思ってたんです。だけどわたしも人間ではあるから⋯。普通に心を持つ一人の人間なんです」
「うん」
「だからやっぱり、誰かから必要とされたい。認められたいって思いが奥底にはあって。だけど自分が誰からも必要とされない人間だって事も痛いほど自覚していて⋯、」
双子なのに似ていないと言われる事は、わたしは凛より劣っていると言われる事と同義だった。
皆から愛されて認められて求められる凛。
友達も多くて、恋人だって出来て、人が常に周りに溢れている凛。
小学校の頃も中学校の頃も今だって、皆が双子というわたし達を比べて、優劣をつけた。
直接言葉にはしなくても、凛は誘われるのにわたしは誘われなかったりした事もあった。
それが悔しくて悲しくて。
植え付けられた劣等感は簡単には無くならない。
無くならないからこそ、諦めるしかなかった。



