「ねえ、広大」
「⋯」
「心配って何?」
「⋯っ」
「今広大が言った事って、本当は広大が心の底で思ってる事なんじゃないの?」
「は⋯?」
「本当は広大がボランティア精神でわたしの幼なじみやってくれてるだけなんじゃないの?」
「何言って、」
「本当はこんな地味で友達のいない幼なじみなんてって思ってるんじゃないの?凛だけなら良かったって⋯。友達がいないわたしを馬鹿にして、可哀想だって見下して⋯。本当は友達にすらなる事のないわたし達だったのにたまたま幼なじみだから広大は仕方なく一緒にいたんじゃないの?」
言葉を発していく度にズキズキと痛む心。
溜め込んでいた寂しさや劣等感が溢れ出して止まらない。
「今まで幼なじみとして一緒にいたのは何で?わたしがボッチで可哀想だから?それともこんなわたしを見て安心したかった?優越感に浸りたかったから?」
「俺は⋯、」
「何も心配なんていらない」
広大の言葉を遮ったわたしに広大が口を閉じる。心地悪そうで、苛立っていて、悲しそうで。複雑な顔をする彼は何を言おうとしたのだろう。
肯定か否定か。
それともまた先輩がどうたらって嫌味か。
「知春先輩は絶対に本“なんか”とは言わない」
「⋯っ」
「本ばっか読んでって呆れた顔をしない。毎日、図書室に来て<今日は何読んでるの?>って言ってくれるんだよ」
「⋯、」
「一人でいるわたしをボッチなんて言わない。わたしの“世界”って言ってくれるんだよ」
自分の言葉に泣きそうになった。
先輩の笑顔を思い出して胸が苦しくなった。
「活字が苦手なくせに、本にだって興味がないくせに、いつもわたしの話を聞いてくれる」
「⋯澄、」
「だから何も心配しないでいい」
「⋯っ」
「わたしの友達はそういう人だから」
目尻に浮かんだ涙を隠す様にして広大に背を向けた。



