意外という言葉は、わたしもその通りだと思う。
凛側の知春先輩とは本来、兄弟でも幼なじみでもないわたしは関わることすらなかったと思う。
わたしは初対面の人とすぐに親しく出来ないし、先輩のようにフレンドリーってわけでもないから。
今考えてみても先輩と放課後に図書室で同じ時間と空気を共有している事が不思議で堪らない。
だから凛のいう意外という言葉はまさに正しくて、わたしですらそう思うのだから傍から見ればどうして?という疑問が起こるのは当然だといえるだろう。
だけど意外だからこそわたしはその関係を大切にしたいと思う。
先輩があの日図書室に来たのは偶然だと思う。
本来だったら話すこともなかったわたし達。
明るい先輩と地味なわたし。
どこまでも正反対なわたし達。
わたしが知らない事を先輩は知っている。
わたしが見たことないものを先輩の瞳は見つめてきた。
わたしが出来ない事を先輩は出来てしまう。
だからこそ、大切にしたいんだ。
意外だからこそ、合うこともある。
意外という言葉に「そうだね」と返したわたしに凛はもう何も言わなかった。