その後わたし達は何を話すでもなく、ただただまだ夏の空気の残る屋外で雲がオレンジがかっていくのを眺めていた。
遠くの方には一番星が煌めいて、わけも分からずまた泣きそうになった。
「先輩は、将来写真家になるんですか?」
辺りが暗くなり始めた頃、零れた言葉は質問というよりもその答えがわかっていて敢えて聞いたものだった。
先輩の口から聞きたかったのかもしれない。
夢を語る先輩の横顔を見たかったのかもしれない。
「なるよ。その為にカメラの事だったりを学べる大学に行こうと思ってる」
「そうなんですね」
「本当に好きなものって、結局は譲れないから」
「⋯、」
「俺には応援してくれるじいちゃんがついてるし、親もちゃんと説得してみせるよ」
「⋯っわたし、先輩の撮る写真好きです」
「⋯、」
「とても、好きなんです⋯」
まるで告白だと思った。
それくらい、わたしは本気だった。
「知ってるよ」
そう言って笑った先輩は本当に嬉しそうで。
どうか、先輩の夢が叶いますようにと一番星に祈った。