キミと世界が青めくとき 【完】




「澄、どうしてこんな所にいるの!?」



そう言いながら駆け寄ってくる凛の“こういう所”とはどういう意味だろう。

友達もいないわたしが映画館にいる事を不思議だと思っているのだろうか。


だけどわたしの隣に立つ知春先輩に凛の目線が移動すると、その瞳は大きく見開かれる。

そして訝しげな表情を一瞬わたしへと向けた後、人懐っこい笑顔を浮かべた。




「初めまして、橘先輩」



可愛らしい声でそう言った凛は一体何を考えているんだろう?⋯⋯なんて愚問過ぎる。


凛はきっと先輩の事を知っている。

それは橘先輩と先輩が名前を名乗っていないのに言った事からもわかる。

どうして凛が先輩を知っているのかはわからないけれど、どう見たって先輩は目立つ部類の人だ。わたしはそいうのに興味はないし関わりを持つ事すらなかった。それに加え学校では二年と三年は活動範囲が被らない。

だから先輩の事を知らなかった。

けれど凛は違う。凛も目立つ部類の人だし、そんな凛が先輩を知らない可能性は限りなく低いだろう。


だからきっと凛は思っている。


どうして澄と橘先輩が一緒にいるの?って。


わたしと先輩がどんな関係でどうして今一緒にいるのか、それを知りたくて仕方ないって顔をしている。そしてあわよくば子どもの頃の様にわたしから先輩を取り上げようとしているんだ。





「わたし、吉川凛っていって澄の双子の妹なんです」

「双子?」

「はい。似てませんか?」

「あー⋯、言われてみれば似てる様な⋯?」

「本当ですか?あんまり似てるって言われないから嬉しいです」



目の前で繰り広げられる会話に吐き気がした。

今は似てないと言われる事が多かったけど、小さい頃は顔立ちを似ているとしょっちゅう言われていたじゃん。

わたしと似ていると言われて嬉しいなんて嘘ばっかじゃん。


そう思うのにそれを口に出す事が出来ない。