放課後の図書室はどこかセンチメンタルな気持ちを湧き起こす気がする。
陽と陰に分けるなら間違いなく陰。
わたしはこの雰囲気に心地良さを感じるんだ。
今日も聞こえるのはわたしのページを捲る音だけ。
誰もいない図書室はわたしの憩いの場。
吹奏楽部がパート練習で音楽室を出ている時にだけ聞こえてくるチューニング音は少しわたしの世界を壊すけれどギリギリ許容範囲内。
物語に集中すれば教室の時と同様、わたしの周りは無音になる。
古びた紙の匂いと柔らかく照れす夕日。
大好きな物語の世界。
わたしだけの、世界だった。



