キミと世界が青めくとき 【完】






「じいちゃん、自分も人の写真撮るくせに人に撮られるといつもこんな顔ばっかするんだよ」

「顔を顰めてますね」

「でも、本当は照れくさいだけで嬉しいの」

「そうなんですか?」

「孫の俺が可愛くてしょうがねーって人だから」



⋯自分でそれを言うのはどうかと思わない事もないけど、それはちょっとわかる気がした。

わたしはお爺様にお会いした事はないし、どんな方なのかも全く知らないけれど、写真に写るお爺様は眉こそ寄せて顔を顰めている様に見えるけれど、口元は少しだけ弧を描いている。


きっと先輩はこの写真を撮る時にもいつもの様に笑っていて、カメラ越しの先輩を見ているお爺様は先輩の言う通り、孫が可愛いのだろう。


自分があげたカメラをいつも持ち歩いているという事も踏まえて、可愛くて堪らないのだろう。



「いつも<俺を撮るな>とか言ってんのにカメラ向けると不貞腐れながらも絶対カメラ目線なんだもんな。面白すぎだろって話だよ」

「先輩もお爺様に写真を撮ってもらったりするんですか?」

「昔はしょっちゅう撮られてたけど、今はそんなに。でも俺の成人式の写真は絶対に自分で撮るんだーって張り切ってる」

「ああ、いいですね」

「ウチはもう廃業しちゃったけど隣町の知り合いの写真館の店主に頼んで、前撮り写真のシャッターを切らせてもらう約束してんだって」

「素敵です」

「じいちゃんは俺のじいちゃんであり、憧れの人でもあるからな。そんな人に写真撮ってもらえるのは今からちょっと楽しみではある」



これはわたしの勝手な憶測だけれど、きっと先輩はお爺様と同じであまり自分の写真を撮られる事に慣れていないのだと思う。

いつも撮る側で、こうしてテーブルいっぱいに並べられている写真の中でも先輩が映っている写真はひまわり畑で撮ったわたしとのツーショットしかないから。

だから、嫌いとか苦手とかの前に慣れていないのだと思う。

だけどそんな先輩を唯一写真に収めてくれる存在がお爺様で。

きっと先輩は自分の写真を撮る人はお爺様以外知らないのだろうし、それがとても先輩の中で大きくて大切な事なのだと勝手に想像した。



成人式の写真を撮ってもらうと言った先輩の顔は写真を撮っている時みたいに輝いていたから。