会社には、翌日社長室へ亮ちゃんと入った。
 ご報告と親族になるので、ご挨拶に。

 とても喜んで下さった。
 同席した専務が原田さんのことはしっかり見ているから大丈夫と言われた。

 部署に下りると、朝礼で時間をもらい亮ちゃんも少しだけ同席してことの次第と今後のことを亮ちゃんからお願いしてくれた。

 「妻をよろしくお願いします。何かあれば、私の携帯にお電話頂いて構いません。」
 そう言うと、自分の連絡先をホワイトボードに書き出した。

 仕事は今まで通り。出来る範囲でやっていく。
 つわりがまだこれから本格化するかもしれないので、澄ちゃんが率先して仕事を分担していくということになった。

 昼休み。社食へ行く。
 カスミと待ち合わせて、席に着く。

 「雫ー、驚いたよ。でも良かった。具合悪いのつわりだったんだね。とにかく、昨日の今日ですごい早さで事態が動いてて、ついていけないよ。」
 「カスミ。本当にありがとう。色々助けてくれたお陰だよ。妊娠は私も予想してなかったから本当にお姉ちゃんに言われてびっくりした。」

 「避妊してたんでしょ?そうだよね、そういうこともあるって言うけど、驚くよね。結婚してなかったし。」
 「うん。亮ちゃんが原田さんとどうにかなってたらと思うとちょっと怖い。」

 「そんなこと、妊娠したんだから絶対ないよ。子供がお母さんを守ったのかもよ。何が何でもお父さんを渡さないって。」
 「そうかな?そんなこと考えたこともなかった。カスミありがとう。」

 優しいな、カスミ。
 「今日、朝礼で高野課長が挨拶したとき、みんなに冷やかされて大騒ぎ。雫のファンが多いのもあって、後から来て略奪はないだろうとか言われていたよ。婚約者いたのにとか陰口たたかれたりして、まあ、経緯を説明したら笑い話になってたけどね。一応、原田さんの専務秘書のことも報告があったけど、驚いたよね。」